SAKE&WHISKY'S GARDEN

昔々、とある会社でお酒をつくっていたハミングバード99の酒飲みレポート。基本的にお酒は、おすすめできる美味しいもののみご紹介しています。

ハイランドパーク12年

海に憧れを持つ人というのは、意外に多いものです。雄大な自然の姿に魅せられたか、海の向こう、はるか彼方に広がる世界への渇望にも似た感情。幕末の日本に生まれた坂本竜馬も、海へと繰り出し、世界中を冒険するという夢を持っていたと言います。


かつてヨーロッパ西方の地に存在したヴァイキングも、海に生きる人々でした。「海賊」というイメージの強い彼らですが、実は農業や交易を積極的に行っていて、侵略行為はさほど生活に置いて重きをなしていなかったのではないかとも言われています。遠く離れた異国の地、異国の海で生きた人々に、現代に生きる私も想いを馳せることがあります。


勘の良いウイスキーファンはおわかりでしょうか。今日ご紹介するお酒は、スコッチの中でも最北エリア(最北端ではないんですね、)に位置する蒸留所の贈る、伝統あるウイスキー。ハイランドパーク12年 ヴァイキングオナーです。ハイランドパークはニッカウヰスキーの祖、竹鶴政孝氏が「理想のウイスキー」として捉えていたことでも有名なんですよ。

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ハイランドパークの蒸留所はイギリスのグレートブリテン島の北方に位置する、オークニー諸島にあります。そこはスコットランドに並び、北欧の国ノルウェーにもほど近い場所になっており、かつてのヴァイキングの活動域真っ只中にありました。ハイランドパークの起源となるウイスキーづくりをこの地で始めたのは、ある密造者だったと言われています。闇に沈むその始まりは、同じ蒸留所の銘柄「ダーク・オリジンズ」にも垣間見ることができます。


ヴァイキング」「ダーク・オリジンズ」、限定版の「ヴァルキリー」という名前だとか、キリスト文化とヴァイキング文化の混じり合ったウルネス紋様のボトルだとか。北欧文化や神話に基づいたハイランドパークのコンセプトは、どうにも子供の頃の冒険心を呼び起こして止みません。はい、厨二病のまま大人になったhummingbird99です(笑)


では、実際にストレートから味わっていきます。よく熟成された原酒を使っているのでしょうか、香りにアルコールの刺激はほとんどありません。麦の香ばしさとコクのある黒糖のような甘さと渋さを予感させる穏やかな香りが立ち、ウッディ、そしてスモーキーな香りをよく感じ取ることができます。よく熟したリンゴ、ビターチョコレートを思わせる香りもあります。どことなく、グレンフィディック15年のソレラリザーブにも似ているかもしれません、

 

味はシェリー樽由来であることを思わせる甘さと、ウッディかつスモーキーで、スパイシー。ピート感が強い無骨さと、温かく繊細さを感じる味わい。また、ブラッドオレンジやブランデーを連想する香味あり。ピート感は単に強いスモーキーさではなく、全体をまとめあげるバランサーを担っているようにも思えます。同じ極北のウイスキースウェーデンのダルヴィーを思い起こさせる心地よいピートを感じる味わいです。


次に、氷を入れてロックに。華やかさとか派手さが現れると思いきや、やわらかさやお淑やかさが増した印象。口当たりもきめ細やかでやさしく、まろやかな甘味とライトになったピート、スパイスを感じられるほか、渋さとビターさも顔を覗かせます。リンゴやオレンジのような甘酸っぱさも、余韻として静かに残ります。また、チーズと一緒に味わってみると、ミルクチョコレートのような風味をよく感じられました。


同じく「島(国)」に生きる民として、伝統ある北国のウイスキーを味わってみるのはいかがでしょうか。


お酒名:ハイランドパーク12年
分類:シングルモルトウイスキー
価格:4000円程
アルコール度数:40%
香り:☆☆☆☆(ウッド感の強い、やさしくスモーキーな香り。)
味:☆☆☆☆☆(ピート感が強いながら飲みやすい。初心者の方の2本目、3本目におすすめです。)
おすすめ度:☆☆☆☆☆(スコットランドと北欧の文化が融合した地の、穏やかで奥深い味わいのウイスキー。)

 

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